新賢明なる投資家 下~割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法 《改訂版――現代に合わせた注解付き》 を読んでみました!

日常生活

 

「新賢明なる投資家」の上巻がバリュー投資法の主に一般論を述べていたのに対して、下巻では実例を交えながら主に各論を展開しています。
その記述の要点は「急に注目を集めて話題となったテーマに飛び付くと後で悲惨な目に遭う」ということです。
この各論を読むとウォーレン・バフェットが最近IBM株を購入するまでIT関連銘柄に手を出さなかった理由がよく分かります。
また配当方針に関する章も大変参考になりました。配当を「さらに利益を生み出す事業拡大のための資金を留保するため」という理由で出し渋る企業は、結果的に投資家に少ない利益しかもたらさない場合が多いということです。
高配当と事業拡大のための資金留保はタマゴとニワトリのような関係です。どちらを優先するかは一概には決められません。ただ最近の日本市場では特に外国人投資家から、高配当を要求されている企業が多いようです。本書の原書が出版された1971年当時の配当に関する論点が現在でもそのままあてはまることに驚きました。
また本書でグレアムは上巻から一貫してバリュー投資と分散投資の有効性を主張しています。
しかし本書下巻の「あとがき」ではグレアム自身がグロース投資と集中投資によって大きな利益を得たことが記述されています。しかも皮肉なことにこの一つの投資判断のみで得た利益はグレアムが過去20年間に積み上げたバリュー投資の利益総額を超えました。

バリュー株・分散投資とグロース株・集中投資は「株価の値上がり益を狙う」という点では同じであり、相反するものではありません。またグレアムがそれまで蓄積したバリュー投資の経験がグロース投資に生かされたと考えます。
グロース株・集中投資はバリュー株・分散投資に比べてハイリスク・ハイリターンです。投資初心者はまずはバリュー株・分散投資で経験を積むのが良いと思います。

 

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