海外勢、日本株31年ぶり売越額に 18年度 日銀が同額相殺、売り買い拮抗

海外投資家が日本株の売りを膨らませている。2018年度の売越額は約5兆6300億円と、31年ぶり高水準となった。米中貿易戦争などを背景に世界経済の先行きに慎重姿勢を強めたためだ。ただ日銀がほぼ同額(約5兆6500億円)の買いで相殺し、売り買いが拮抗。海外勢の売りを日銀が一手に受け止めるいびつな構図が鮮明になっている。

東京証券取引所が4日発表した投資部門別売買動向をもとに集計した。海外勢の売越額はバブル経済の本格化で日本株の上昇が続いた1987年度以来の高水準となる。売り越しは2年連続。

海外勢の売りが膨らんだ最大の要因は、世界景気の減速への警戒だ。日本株は輸出型の製造業が多く、世界景気の動向に左右されやすい。米中貿易戦争や中国経済の減速など先行き不透明感が強まるなか、海外勢が日本株の投資判断を下げる例が相次いだ。

世界最大の資産運用会社、米ブラックロックは18年7月に、日本株の投資スタンスを「強気」から「中立」に約1年8カ月ぶりに変更した。

世界3位の資産運用会社、米ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、米中貿易戦争の解決の道筋が見えないことなどを理由に、リスク資産である株式そのものに対する投資割合を18年10~12月に引き下げた。このうち日本株についても円高リスクなどを理由に19年に入ってから投資判断を「中立」から「やや弱気」に引き下げている。

こうした海外勢の売りを日本株の上場投資信託(ETF)買いで吸収したのが日銀だ。日銀は「リスクプレミアムの縮小」を目的に、日経平均がおおむね1万円を下回っていた10年にETFを買い始めた。購入額は当初4500億円だった。16年には6兆円とする方針を打ち出した。

日銀のETF買い入れ額を集計すると、18年度は5兆6500億円に及ぶ。保有残高は3日時点の推計で、約29兆円と、東証1部の時価総額(約600兆円)の5%弱を占めるもようだ。

日銀はETFの大規模な購入を通じて資産価格の上昇や個人消費の活性化を促し、物価上昇につなげる効果を見込む。だが、中央銀行が直接株高を支える異例の政策はリスクも大きい。

日銀の雨宮正佳副総裁は3月、国会で「日経平均株価が1万8000円程度を下回ると保有ETFの時価が簿価を下回る」との試算を示した。足元の相場水準からはまだ距離があるが、ひとたび株安局面に転じて日銀の自己資本が毀損する事態になれば、通貨の信認も揺らぎかねない。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO43334720U9A400C1EA2000?s=0

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